「南フランスの白い刺繍 ブティ」制作日記

2023年6月某日、誠文堂新光社の玉井さんからメールが届きました。
「本の出版が正式に決まりました。これから一緒に頑張っていきましょう。」
やったー、この日を待っていた!

うきうきしながらこれからの制作を想像していた私は、気がつくとスマホを握りしめたまま眠ってしまいました。というのも、この大事な日に、私はコロナに罹っていたのです。

それほど重症ではなかったものの、しっかりと発熱。2日ほどで熱が下がると、再び玉井さんからのメールを確認。出版決定のメールは熱による幻想ではなかったようです。

出版が決定するまでにはいくつかのハードルがあります。
まずは2023年3月、声をかけていただき、誠文堂新光社に伺うことになりました。

この時点では企画が固まっているわけではなく、サンプルを持参し、ブティとはこれこれこういうもので〜、ブティの作り方はこんな感じで〜、という話から、材料の話、どんな内容にすれば充実した本になるか、モチーフの説明や歴史の話も入れると面白そう、などを話し合いました。出版が決定した場合(この時点ではあくまで仮定の話)のスケジュールについても軽く確認しました。

帰りがけに「いい企画ができるように頑張ります!」と仰った玉井さん。本を作るには多くの人の力が必要なんだと、このとき改めて気づいた私は、「よろしくお願いします!」と超普通のことしか言えませんでしたが、これからは玉井さんに新刊会議で頑張ってもらうしかありません。

超普通な「よろしくお願いします!」のあとに、心の中で「ほんとにほんとに、おねがいしまーす!!!」と圧強めに付け加えて、誠文堂新光社を後にしました。例年より早く咲いた桜はすでに散り始め、夕方から雨が降りそうな春の日、千花模様なんて素敵かもと思いながら帰路につきました。